興動館スタッフは普段、南側勝手口(カードキー側)を出退勤の通用口にしています。その通用口の横に約1m四方の植え込みがあり、イロハモミジとツワブキが新しい葉を茂らしています。
15年前の開館時にはイヌツゲが3本か4本ほど立派な角刈りで鎮座していたのですが、植え込みの囲い付近に灰皿を置いて、私と友松さんがたばこ休憩の度に土を踏み固めてしまったので大変弱ってしまいました。4年か5年前、最後の一本が病気の犬のようになってしまい、後生に思った庭師さんが引っこ抜いてくださいました。イヌヅケが無くなった後はしばらく砂漠と化したのですが、イロハモミジが芽を出して、清掃員の上田さんと「熊岡神社のモミジだから縁起がえぇのー」と大変盛り上がりました。その後、勝手口の屋根から降りるポリパイプの排水口の真下に、ツワブキが当たり前のように引っ越してきて現在に至ります。ツワブキは生意気なやつで植え込みの水の流れを変えてしまいました。また、出入口側は屋根があって雨に恵まれず、ツワブキで水がせき止められたので土が余計に乾くのです。乾いた砂が心地いいのか、猫が夜な夜な用足しに来ます。開け閉めの際は臭くて腹が立つのですが、しばらくすると土も生き返るかと1m四方の植え込みに生命の循環を妄想しています。コロナで学生が来ないから猫にガイダンスでもして、利用申請書でも書いてもらおうかしら。
と、まぁお前、暇か?と怒られそうですが、興動館の歴史を語れば私の右に出るものはいないでしょう。あれを語って、あれを語らずでは不公平になりますので、植え込みとの思い出を語らせていただきました。カーペットの染みが文句を言ってきそうですが。
さて、と言うのも私事ではありますが、6月1日付でキャリアセンターに異動することとなりましたのでお知らせいたします。思えば15年間、学生たちをはじめ、地域の皆さんや他大学の教職員の方々、企業や民間団体、行政の方々といろいろな活動ができたことが本当に楽しく、幸せな時間でした。皆さんと活動してきて気付いたこと、学んだことがあります。それは学生に「本物」をみせることです。学生には心震え、感情が湧き出るような「本物」を見せてやらなければなりません。これが体験的、能動的教育の醍醐味であり興動館教育プログラムの強みだと思います。学生らは自ら見て体験した「本物」をきちんと意味付けし言葉にすることが重要です。その意味付けする力を養う場が大学の教養教育であり、専門教育だと思います。その積み重ねの先に「明徳」があるのだと。
いろいろと偉そうなことを申し上げましたが、今思い出されるのは私の未熟さ、不勉強さで導いてやれなかった学生たちのことです。彼らがいたからこそ学び続け、あえて厳しい道を選択することができました。自身が興動人の模範であり、その背中を示すことにただ、ただ実直に邁進してきたつもりです。異動が決まり、なぜ俺?という気持ちもありましたが、変化を受け入れ前に進みます。何より関わってきた学生たちには嘘つきにはなりたくありません。取り留めなく書き殴ってしまいましたが、筆を置いて観念します。これからも挑戦し続けることだけはお約束します。15年間、誠にありがとうございました。
最後にお隣の熊岡神社にお参りに行きました。
僕も挑戦し続けていきます